人道に対する罪
2021.06.01
デンマークから届いた短歌 NO2
2021.05.31
前回お話した、デンマークの方の新作の短歌です。私のクライアントさんから紹介していただきました。
「雨上がり 最後のしずく 手に落ちて 生命線を ゆっくりなずる」
以下はこの歌のエピソードです。
この方、日本でデンマーク人のご主人と出会って、恋に落ち、結婚の約束をしました。ご主人は仕事の都合で先に帰国され、後でデンマークに来るためのお金を送ってくれました。そして、単身、デンマークに行くことを決心しました。飛行機で当時のソ連のとある都市に行き、デンマークへの行くためには、そこから離れたモスクワの飛行場へ行かなければなりませんでした。そこで、タクシーに乗り、ロシア語がわからなかったので、運転手さんに身振り・手振りで目的地を伝えたのですが、走り出したらず~っと森の中、怖かったそうです。森の向こうに飛行場が見えたときは本当にうれしかったそうです。安心と、うれしさのあまり、持っていたソ連のお金を全部渡してしまいました。
モスクワの空港でチケットを買おうとしたら、ソ連のお金を全部渡してしまったことに気づきました。デンマークへ飛ぶ飛行機の出発時間は近づいています。安心感から一転、悲嘆にくれていたところ、飛行場に5人の日本人グループが居ることに気づきました。彼女は、この人達にお金を借りようと思い、訳を話したところ、その中のひとりが、
「わかりました。君、飛行機を止めさせなさい。」
と、部下と思われる人に指示しました(...!すごいですね!!)。そして、本当に飛行機を止めて、快くお金も貸してくれて、無事デンマークに行けたそうです。今にして思えば、この日本人の集団、政府関係者だったんではないか、と今は思っているそうです。
すごいエピソードですよね。人が本当に決心すると、いろんなサポートがあるんだな、と思いました。きっと、眼には見えない存在、力もサポートしてるに違いないです。
ちなみに、この方、「私、手に生命線が無いのよ。」と仰ってるそうです(笑)
短歌、あとひとつ
「杖ついて 足ひくはずが 散歩行く 私の杖はまだお留守番」
デンマークから届いた短歌
2021.05.17
以前、デンマークに住む日本人女性から、手作りのしおりをいただいたことを紹介しました。この方、私のお客様のお友達で、小さいときに親元から離れて育てられ、表には出さないけど大変つらい子供時代でした。いまはデンマークの優しいご主人と幸せに暮らしていますが、実はご主人も孤児院で育った方でした。写真は、この方からいただいた絵と、しおりを額に入れたものです。しおりは、本に挟んで使うのはもったいないので、こんな風にして、玄関に飾っています。
この方、短歌もやっていて、日本人の短歌の先生から褒められた、という二首を私のお客様に伝えてくれたそうです。ご本人承諾のもと、紹介します。
「夕映えに あなたの影によりそって 家路ぼつぼつ 影絵と話す」
「折り紙に なぐさめられて 心を折る 鶴の姿に日本を見る」
いまは優しいご主人と、よりそって、おだやかに、幸せな日々なのだが、やはり時々はさみしい、祖国が恋しい...私はそんな想いを感じます。